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イプシ・マーケティング研究所
<コラム&レポート> -ビジネスレポート-
映像配信サービス

 ブロードバンドの普及とともに、ネット上に映像コンテンツが増えた。PC端末で映画を観ることが珍しくなくなり、ユーザー参加型の動画投稿サイトも次々に登場している。

 一方、「通信と放送の融合」に向かう流れの中で、STB(セットトップボックス)を受信端末とする映像配信サービスにも通信事業者やケーブルテレビ事業者の参入が相次ぎ、リビングルームのテレビでも、ブロードバンド回線経由のVOD(ビデオオンデマンド)サービスなどを利用できるようになった。

 これからのコンシューマ向けサービスを考えるとき、「映像」は間違いなくキーワードのひとつである。今回お届けするレポート・シリーズが、「次」へのヒントとなるかもしれない。

第3回 株式会社 エンタウェイブ 「エンタミレル」
2007.5.24
<株式会社 エンタウェイブ> http://mirel.tv/


■ビデオオンデマンドの先駆け「エンタミレル」


 「エンタミレル」とは、ブロードバンド回線とSTB(セットトップボックス)と呼ばれる専用チューナーがあれば、テレビを使って放送波以外のチャンネルをいつでも見たい時に見ることができるVOD(ビデオオンデマンド)サービスである。

 「エンタミレル」が提供するチャンネルには、ハリウッド映画などの海外タイトルや国内主要タイトルを含む映画系コンテンツと、より短い時間で気軽に楽しめるエンタメ系コンテンツがある。

 「エンタミレル」を運営する株式会社エンタウェイブ(以下、エンタウェイブ) は2005年1月に誕生した(旧社名は株式会社ゲオ・ビービー)。その後エンタメ系コンテンツを一層充実させるため、2006年7月に社名をエンタウェイブに変更、続けて11月にサービス名称を「エンタミレル」とした。

 社名ならびにサービス名変更に込めた想い、そして「エンタミレル」の現状と今後の展望についてお話を伺った。

「エンタミレル」
エンタミレル
Copyright (c) Enterwave Inc.



■約5000もの映画やアニメをインターネット経由でテレビで視聴


 ここで、「エンタミレル」の視聴方法と料金体系を紹介する。

 「エンタミレル」には洋画、邦画、テレビ、アニメ・特撮、キッズ、スポーツ・趣味、音楽、お笑い・アイドルのジャンルに約5000タイトルものコンテンツがある。コンテンツにはそれぞれ105円から525円という料金が設定されている。

 利用料金は、スタンダードプラン(基本料金)500円プラスコンテンツ料金。好きな作品を設定された本数分どれでも見ることができる以下のようなコースが用意されている。各コースの設定本数を越えると、各コンテンツ料金が追加される。


ミレル3コース スタンダードプラン+3本視聴 月額1,480円
ミレル5コース スタンダードプラン+5本視聴 月額1,980円
ミレル10コース スタンダードプラン+10本視聴 月額2,980円


 支払方法はクレジットカードまたはWebMoney(電子マネー)である。

 利用するには、高校生を除く18歳以上で、国内の主要プロバイダと契約し、2Mbps以上の速度が出る光回線やADSL・ケーブルテレビ回線などのブロードバンド回線に加入していることが条件となる。接続には、別途ブロードバンドルータを用意し、エンタウェイブから届くSTB(専用チューナー)をブロードバンドルータとテレビをつなぐだけ。ブロードバンドルータを持っていな場合は、有線ブロードバンドルータを月額100円で、ルータ機能付き無線LANを月額400円でレンタルできる。


■2002年から築いてきたVODサービスのノウハウ


 まずは、エンタウェイブが提供してきたサービスの歴史について伺った。

 このサービスが開始された2002年といえば、常時接続ブロードバンド回線の利用率がインターネット利用世帯の約3割に達した時期である。とはいえ、回線が導入されても、多くのサービスが採用しているベストエフォート型では通信速度は保障されないので、インターネットを介したVODサービスでは、利用者側のテレビで安定した映像が表示されるとは限らない。しかし「テレビで見る」視聴環境では、視聴者からは、常にテレビ同等の質の映像が期待される。

 また、これまで地上波テレビ放送の限られた数のチャンネルしか選択肢がなかったユーザーにとって、タイトルを探して選択するという新しい視聴スタイルは、魅力的ではあるが、慣れるまでは戸惑いの連続である。したがって、サービス開始当初は、問い合わせ等の対応に追われたという。

 「お客様によって回線状態も視聴する機器も違う」ため、サポート対応は苦労の連続だったそうだ。しかし、当初予想もしなかった問い合わせや不具合に対応していくことでノウハウを積むことができ、このときの経験が後に活きることになった。


■プロバイダフリーで“ナナロク世代”に受け入れられた「エンタミレル」


 当時は映像配信サービスの多くがプロバイダの付加サービスとして提供される中、このサービスが画期的だったのは、プロバイダに依存せず豊富なコンテンツを提供したことである。ユーザーは、自宅にブロードバンド回線とテレビがあれば、VODサービスを楽しむことができる。

 まずこのサービスに飛びついたのは、20代後半から30代前半の一人暮らしの男性である。彼らは、90年代後半に学生時代を過ごしたいわゆる“ナナロク世代”と呼ばれる層である。

 「小中学生のころにパソコン通信が広まり、高価だったレンタルビデオが安価になり、大学時代にはiモードに代表されるモバイルインターネットが当たり前となった世代」だとエンタウェイブでは分析している。だから、インターネットビジネスにお金を払うことに対する抵抗感がなく、いいサービスであれば受け入れるということだ。


■異業種のコンテンツを取り入れ相乗効果を得る


 「エンタミレル」では、異業種の新しいコンテンツ配信の実現にも取り組んでいる。その第一弾が、会員制フィットネスクラブを運営するセントラルスポーツ株式会社の「フィットネスチャンネル」である。セントラルスポーツのレッスン指導映像をコンテンツとし、自宅で気軽にエクササイズできるというものだ。

 また、以前は映画をコンテンツの柱にしていたため、配給元との関係から、簡単に広告展開できなかったのだが、「フィットネスチャンネル」については、女性雑誌で積極的にアピールした。これにより、「エンタミレル」の女性利用者の割合が増加したという。

 このように、異業種からも積極的にコンテンツを取り入れることにより、既存サービスとの差別化につながるユニークなコンテンツ提供を実現し、また双方のユーザー獲得につながる相乗効果を生みだす。

 コンテンツラインアップの拡張で、女性向けという新たな市場が開拓できた。「今後は、定年を迎えるエルダー層向けコンテンツも積極的に追加していきたい」と、コンテンツの担当者は意気込んでいる。
 

■PCや携帯電話の映像配信サービスとはすみわけ、PC・携帯電話を使い勝手向上のツールとして利用


 パソコン向けでは、無料で、中には会員登録も不要で提供されている映像配信サービスがユーザーを増やしている。また携帯電話でのワンセグ放送も注目されている。しかし、パソコンや携帯電話でのサービスと「エンタミレル」は、すみわけが可能だと見ている。

 「パソコンや携帯電話を使ったサービスは、数分程度のコンテンツを見るのには適しているが、それ以上になると画面サイズや画質、操作性などの問題からあまり相応しくないと考えられています。つまり『エンタミレル』が提供するような15分以上のコンテンツに関しては、これらとのすみわけができると考えています」とのことだ。

 エンタウェイブではむしろ、サービスの使い勝手を改善する方法として、パソコンを利用することにした。「エンタミレル」にリニューアルする際、「探しやすく、視聴しやすく、使いやすく」を目標に操作性向上にも取り組んだのだ。

 現在、「エンタミレル」が提供するコンテンツは5000タイトル以上にも及ぶ。これまでは、利用者がコンテンツを探すには、カラオケ本のように全タイトルが並ぶ冊子を見て入力するか、リモコンを使いキーワード検索を行うという方法しかなく、見たいコンテンツを見つけるのが簡単ではなかった。

 そこでまず、「エンタミレル」のオフィシャルサイトに、12人のブロガーが各自の好みでコンテンツを紹介する「バイヤーズブログ」を掲載した。これにより、映画の見所をそれぞれのブロガーオリジナルの視点で知ることができる。この12人は、それぞれ既にブロガーとして知られている存在の方々である。“バイヤー”とユーザーの間で、ラジオDJ的に盛り上げる「コンシェルジュ」のブログもあり、いろいろなブログを訪れる面白さを高めている。

 また、パソコンから簡単に予約が可能な「マイリスト」機能も加わった。検索をしやすいパソコンを使い勝手のよい新たな“リモコン”として活用する仕組みだ。パソコンから「マイリスト」へ登録すると、専用チューナー上の「マイリスト」に登録され、一発で作品までたどりつくことができる。前述の「バイヤーズブログ」で、そのブロガーおすすめのコンテンツを「マイリスト」に加えることもできる。


 良い画質の「テレビ」でくつろいで見られるVODサービス「エンタミレル」。異業種との提携でユニークなコンテンツもラインアップし、より使いやすいサービスへと進化を遂げた。


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