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| 第3回 kizasi.jp |
2007.2.8 |
| <kizasi.jp> http://kizasi.jp/ ■ブログで語られた話題やトレンドがわかる「kizasi.jp」 2006年8月に弊社が実施したWeb2.0に関するユーザー調査では、インターネットユーザーの実に4人に1人はブログの開設経験があるという結果が得られた。日々自分が考えたことや関心をもったことについて発信する人がここまで増えるとは、大変な時代になったものだ。 ところで、これだけの人が開設する膨大な数のブログについて、そこに書かれた言葉の出現状況を分析し、人々の関心の移り変わりを知ることができるウェブサイトがあるのをご存知だろうか。 「kizasi.jp」がそれだ。2005年12月のサイト開設以来アクセス数を伸ばし、アスキーやカカクコムなどの人気メディアとも連携することで着々と認知度を高めている。 今回はそんな「kizasi.jp」の戦略について、運営会社である株式会社シーエーシーのKIZASI事業室長(現 (株)きざしカンパニー 代表取締役社長 ※注1) 潮(うしお)氏と広報の堀江氏にお話を伺った。 ※注1 2007年1月10日、(株)シーエーシーKIZASI事業室は(株)きざしカンパニーとして別会社化された。 株式会社きざしカンパニー(http://biz.kizasi.jp/corporate/profile.html) ■「kizasi.jp」の概要 「kizasi.jp」は、ブログで何が話題になっているかを知ることができるウェブサイトだ。 トップページの「kizasi語ランキング」のコーナーでは、その時点で最も話題になっているキーワードがランキング表示されており、今どんな話題が人々の関心を集めているかがわかる。また「kizasiチャンネル」のページでは、「IT用語」、「男性アイドル」といったカテゴリー別にランキングが見られるようになっており、興味のあるカテゴリーに絞ってチェックすることもできる。 さらにトップページで自分が気になる言葉(以下、「キーワード」という)を入力して「検索」ボタンを押すと、そのキーワードがどういう言葉とともに語られたか(これを「関連語」という)や、時間の経過にともなう人々の関心の推移、さらにそのキーワードが語られたブログのサマリーなどを見ることもできる。キーワードに関する人々の関心の度合いとそれが語られた文脈がひと目で分かるしくみだ。
■言語解析技術をベースに開発された「kizasi.jp」 「kizasi.jp」は、シーエーシーの技術研究部が開発した言語解析技術がベースになっている。技術研究部とは同社のR&D部門で、潮氏が言うところの「ウルトラ技術者集団」がここ5〜6年にわたり、テキストを形態素(※注2)に分解し出現状況を分析する技術を開発している。 2年ほど前からブログの大きな伸びを目の当たりにした同部のメンバーたちが、自らが開発した言語解析技術で世の中のブログを分析すれば、今までになかった情報サービスが可能になり、ひょっとしたら大きく“化ける”かもしれない、との思いで開発したのが「kizasi.jp」だ。2005年4月から「kizasi.jp」でブログのデータ収集を始め、同年9月にはベータ版をリリース、そして12月には正式リリースにこぎ着けた。 ※注2 「形態素」とは、単語や単語の一部など、言語の中で意味を持つ最小単位。 ■難しいランキング順位の調整 ここで「kizasi.jp」のランキングのしくみを簡単に説明する。 各キーワードが獲得する得点は主に「出現頻度」と「変化率」の2つの要因で決まる。「出現頻度」とはそのキーワードがブログ上でどれだけ多く語られたかを表す指標だ。一方、「変化率」とは、出現頻度がどれだけ変化したかを示す指標で、普段めったに語られることがない語が突然多くの人のブログ上に出現すると、日ごろからよく使われる語よりも高い得点がマークされる。 潮氏によると、初期の開発において最も難しかったことのひとつが、ランク付けする際に「出現頻度」と「変化率」の重み付けをどうするかで、その調整には大変苦労したという。
出現頻度だけを見れば、「紅白歌合戦」のようにもっと多く出現するキーワードがある。しかし、「kizasi.jp」の評価ロジックでは、普段語られることのない「各27組」という語が突然多くのブログに出現したことで、「各27組」は「紅白歌合戦」よりも注目されていると評価し、高得点を与えるようになっている。 ランキングには常に上記のような問題がつきものだが、見る側にとっては、上位に出てくる言葉が全て当たり前のものではおもしろみに欠けるし、全て意外なものでは納得感が得られない。 「kizasi.jp」の評価ロジックの詳細はあくまで非公開、順位付けに異論があるのは百も承知だ。「kizasi.jp」のブランド力を高めることによって「『kizasi.jp』のランキングではこうだった!」と言われるようにしていきたいというのが同社の考えだ。 ■有料サービス「ブログクチコミサーチ」 同社では、「kizasi.jp」と同じデータベースを利用した企業向けの有料サービスも提供している。それが「ブログクチコミサーチ」(http://biz.kizasi.jp/)だ。 「ブログクチコミサーチ」は、分析対象期間を自由に設定できるなど「kizasi.jp」にはない詳細な分析機能が売りだ。2006年1月に無料ベータ版を公開したところ1万人以上の登録があり、そのニーズの高さを受けて機能を強化し、同年6月から月額49,800円の有料サービスとしてリリースした。 顧客企業の主な業種は、広告代理店、コンサルティング会社、マーケティング会社、リサーチ会社、食品会社等で、日頃から自社や自社クライアントの商品やサービスがクチコミでどのように語られているかに敏感な業種が多いという。 ■集客力の高いメディアとの提携 「kizasi.jp」は、アスキー、NHK、カカクコム、シネマカフェ、読売新聞など集客力の高い人気メディアとの提携を次々に成功させている。 提携の多くは、提携先のコンテンツのひとつとして先方のメディア上で話題のキーワードを紹介すること、及びそこに「kizasi.jp」へのリンクを表示し、ユーザーが追加情報を「kizasi.jp」で見られるよう導線を用意してもらうという内容だ。分析対象のテキストは、「kizasi.jp」で集めたブログ情報の場合もあれば、提携先が持つブログ以外のテキストの場合もある。 いくつかの提携内容をみてみよう。 例えば今年11月末に発表されたカカクコムとの提携内容は、カカクコムのクチコミ情報を「kizasi.jp」の技術で分析し、製品別によく語られるキーワードを、出現度(「出現頻度」と同等)と注目度(「変化率」と同等)の2軸上にマッピング表示するためのデータの提供である(カカクコムの「kizasi.jp」と連携したページの例はこちら)。カカクコムの画面には「ブログもチェック」というボタンがあり、このボタンをクリックしたユーザーは「kizasi.jp」に誘導され、今度はその製品がブログでどう語られているかをチェックすることができる。 NHKとの提携は、テレビ番組「つながるテレビ@ヒューマン」向けにランキングデータを提供するという内容だ。番組としての「つながるテレビ@ヒューマン」とそのウェブサイトの両方で、ブログ上での話題のトレンドとして「kizasi.jp」のデータを基にした話題が紹介される。人気のキーワードのなかからどれをピックアップしどう紹介するかはNHKの判断によるが、それに必要なランキングデータを取り出すためのAPI(※注3)が、「kizasi.jp」からNHKに提供されている。 アスキーとの提携では、同社サイト「ascii24」の「今話題のIT用語」、「話題の上場企業」のコーナーで「kizasi.jp」のランキングデータが引用されており、これらのコーナーから各々、「kizasiチャンネル」の「IT用語」、「上場企業」チャンネルへとリンクさせている。この提携に臨んで、アスキー側がこれらのカテゴリーに含める用語リストとそれぞれの用語を定義(検索条件の指定等)するカテゴリー辞書整備の役割を担い、「kizasi.jp」側が解析結果を「kizasiチャンネル」の2つの新設カテゴリーに表示するという役割分担を敷いた。 シーエーシーKIZASI事業室(現 きざしカンパニー)では、今後もさまざまな分野のメディアと協力し、広い分野で「kizasi.jp」のデータ利用を推し進めたい考えだ。その際、分野ごとにカテゴリー辞書が必要となるが、「kizasi.jp」のスタッフが専門外の分野の辞書を作るのは難しい。同社では、カテゴリー辞書は専門家が作るのが最も効率的かつ高品質になるとの判断から、「kizasi.jp」が解析技術を提供するかわりに、その分野を専門とするメディアや企業にカテゴリー辞書を用意してもらうという役割分担で提携関係を広げていきたいと考えている。 ※注3 API(Application Programming Interface)とは、外部アプリケーションから、OS等のソフトウェアが提供する機能を利用するためのインタフェース。 ■収益源は、サイトでの広告と有料サービス 「kizasi.jp」には、既に日々かなりの量のアクセスがある。アクセス数に関するデータは現在非公開だが、Alexaで見るとページビューや訪問ユーザー数が伸びているのがひと目で分かる。 シーエーシーKIZASI事業室(現 きざしカンパニー)では、「kizasi.jp」とその関連サービスのビジネスモデルを整備し、収益を生む事業として育てていく予定である。同社が考える収益モデルでは、ウェブサイト上での広告事業と話題分析ツールなど有料サービスの2つが収益の大きな柱になる見込みだ。 一方、上述の他メディアとの提携は、現在は直接的な収入源というより、サイトへの集客数を増やすことが主たる狙いだ。実際、カカクコムなど人気メディアにリンクされたことによる集客効果はめざましく、有力メディアとの連携に対しては今後もパワーをかけていくつもりである。 また提携については、質と同時に量も重視していく方針だ。Web2.0 という時代の流れのなかで多くのウェブサイトが取り組んでいるように、「kizasi.jp」でも、今まで個別に行ってきた提携サイトとの連携部分の作り込み部分を、将来は定型API化していくことも、検討の視野に入れている。これにより多くのサイトに対して「kizasi.jp」の機能を提供し、「kizasi.jp」へのリンクを張ってもらう戦略だ。 ■競合サービスに対して共起語分析技術で先行 「kizasi.jp」にとって、ブログのテキストを分析するという意味での広義の競合サービスはすでに存在する。Yahoo!、Google、ask.jpなどがウェブ検索の傍ら提供しているブログ検索サービスがこれにあたる。 しかし、これらのサービスは目下のところ、キーワードに関連するブログを最新順に表示し検索させることが中心である。潮氏は、「kizasi.jp」の特長は、時間にともなう話題の量と質の変化から、「今ホットな話題を発見」、「あの時期の話題を検索」、「ある期間の話題を分析」できる点であり、その点において他社のサービスとは大きく違うという。 しかし今後、上に挙げたような検索サービス事業者が、「kizasi.jp」と類似した時間情報や文脈情報を持つ話題分析サービスに乗り出してくる可能性も十分考えられる。潮氏は言う。「『kizasi.jp』の大きな強みである関連語を分析する技術、ブログの話題と合わせて関連するニュースを表示するといった“関連する話題をつなげる”技術で先行することが重要だ。追いつかれないようさらに先を急がねばと思っている。」 ■さまざまな見せ方が期待できる「kizasi.jp」の言語技術 実は「kizasi.jp」は、同社の言語解析技術のひとつのテクノロジー・ショーケースでもある。ブログの話題情報を別の形でプレゼンテーションする試みとして、同社では「kizasiお出かけマップ」(http://odekake.kizasi.jp/tokyo/)の試験サービスも行っている。 「kizasiお出かけマップ」では、地図上の赤い部分をクリックすると、クリックしたお出かけスポットについてのブログのクチコミ情報を見ることができ、月ごとの注目スポットのランキングも表示される。近場のお出かけ先を探したいユーザーに対して、地図上からブログのクチコミ情報にアクセスするようになっており、桜や紅葉の季節に身近なお出かけ先を探すのにぴったりのサービスだ。 シーエーシーKIZASI事業室(現 きざしカンパニー)が今後も「kizasi.jp」の機能をより高めていくとともに、優秀な言語解析技術を、ユーザーにとって気のきいたサービスとして展開していってくれることに大いに期待したい。 |