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| 第3回 パナソニック コミュニケーションズ株式会社 「どこでもドアホン」 「どこでもモニター」 |
| 2005.10.28 |
| <パナソニック
コミュニケーションズ株式会社> http://panasonic.co.jp/pcc/ ■ ドアホンの常識を破った「どこでもドアホン」
この市場でもともと強いポジションにあった松下電器産業が、画期的な製品を投入した。ドアホンのモニター子機が電話のコードレス子機にもなるテレビドアホン「どこでもドアホン」である。 松下グループでは、「ホームセーフティ」というコンセプトを打ち立て、ドアホンにとどまらず、家庭でのIPカメラの利用シーンを提案する「どこでもモニター」など、さまざまな商品開発に取り組んでいるとのこと。 そこで、「ホームセーフティ」に基づく商品開発について、「どこでもドアホン」と「どこでもモニター」を開発したパナソニック コミュニケーションズ株式会社(以下パナソニック コミュニケーションズ)の、ホームセーフティカテゴリー カテゴリーオーナー ダイレクター 小林英次氏にお話を聞かせていただいた。 ■ グループ内統合のシナジーが"ドアホン"の枠を超えた商品開発を実現 パナソニック コミュニケーションズは、松下グループ内の3つの会社の統合によって、2003年に誕生した会社だ。 家庭向けファクシミリや電話機を主に手がけていた九州松下電器(株)と、松下電送システム(株)、そして松下通信工業(株)の一部事業が統合し、ドキュメント関連を含む固定通信事業の開発・製造・販売を行う会社として設立された。 この統合以前は、ドアホンの開発は松下通信工業が行っていた。しかし、「どこでもドアホン」のセールスポイントである、ワイヤレスのモニター子機を付ける、さらには、モニター子機を電話機の子機兼用にするといった開発は、家庭向けのファクシミリや電話機を主に手がけていた九州松下電器の技術がそこに加わって実現した。グループ内統合により、ドアホン専業メーカーでは難しかったと思われる商品開発につながったのである。 「どこでもドアホン」は文字通り、無線のモニター子機でドアホンに"どこでも"応対できるという製品だ。2004年10月に、カラーカメラ玄関子機(ドアホン)と壁に設置するカラーモニター親機に、ワイヤレスモニター子機を付けることができるシリーズを発売。「第2弾」として、2005年7月、電話機とコードレス電話子機を付加することができるタイプが登場。さらに1カ月後の8月には、ファクシミリも商品ラインに加えられた。
電話とドアホンでコードレス子機を共有するというのは、これまで、ありそうでなかった構成の商品である。実は、「どこでもドアホン」は当初から、電話機能がついたモニター子機を想定して開発が始まった。しかし技術的に簡単なことではなく、その完成を待つ前に、まずは「どこでも」というコンセプトを打ち出して、電話機能を持たないモニター子機のセットを市場に投入した。 その後1年足らずで、電話機能をつけた新シリーズ発売となる。ドアホンという製品ジャンルでは、新機種の発売の頻度は1年に1回程度なのだが、「どこでもドアホン」に関しては、かつてないペースで商品ラインの拡充を行っている。 ■ 「ホームセーフティ」カテゴリーの誕生 ドアホン市場が拡大している背景には、防犯に対するニーズの高まりがある。「どこでもドアホン」にも、たとえば以下のように、家庭の安心・安全に役立つきめ細かい機能やオプションが装備されている。
通信機器が得意領域であるパナソニック コミュニケーションズでは、もともと電話機や電話回線が、ライフラインとして安全な生活をおくる上で重要な役割を担っているとの意識が高かった。緊急時にまず警察・消防などにつなげるのは電話の役割だ。また、警備員駆け付けをともなうホームセキュリティサービスのインフラは電話回線が担っている。 このような社風と社会的なニーズの高まりが重なって、2004年8月、「ホームセーフティ」というコンセプトを掲げ、それを製品カテゴリーと捉えて開発を進めることとなった。 「ホームセキュリティ」ではなく「ホームセーフティ」と名づけられたのにはわけがある。「ホームセキュリティ」というと、防犯をベースに事が起こった際の対処というイメージがあるが、これに対して、「セーフティ」には、毎日の安全・安心・快適に貢献する製品作りを目指したいという意味がその言葉に込められているのだ。 ■ IPカメラ市場の拡大を牽引 「ホームセーフティ」につながる製品はドアホンだけではない。パナソニック コミュニケーションズでは、2001年秋からIPカメラ事業にも参入し、現在、国内トップシェアを誇るほどに成長させている。 通信回線のブロードバンド化が進むにつれ、コミュニケーションの形態が「音声」⇒「音声+イメージング」⇒「音声+イメージング+映像」へと進化していく。パナソニック コミュニケーションズでは、コミュニケーションを成立させる製品を手がけている企業として、当然その進化に合わせた製品開発が必要だと考えていた。ドアホンもIPカメラも、その線上にある。 「『百聞は一見にしかず』という表現は、英語にも他の言語にもある。世界中誰もが、映像によるコミュニケーションがもたらす情報量の多さを認めているということ。だから、どうしてもこの分野をやりたかった」と、小林氏は語る。 IPカメラとは、カメラ自体がWebサーバー機能を持ち、直接ネットワークに接続するものである。2001年当時、IPカメラの国内市場は、ほぼ外資系メーカーに独占されていた。というより、市場そのものが存在していないといえるほど規模が小さかった。実需があったのは「監視カメラ」のみで、「監視カメラ」はセキュリティが目的であるため、通信回線としてインターネットの不安定さが懸念され、同軸ケーブルでモニターと結ばれるローカル接続の防犯カメラであるCCTVカメラが主流であった。 こうした中で、パナソニック コミュニケーションズは、「普及価格」、「利用シーンの提案」、「使い勝手の改良」と、需要拡大の努力を重ねてIPカメラ市場を形成していった。 「利用シーンの提案」の代表例として、2004年2月に発売された「幼稚園・保育園パック」がある。カメラとモニタリングに必要な機器や録画プログラムに加え、設置作業までをパッケージ化したものだ。 当初は、幼稚園の先生たちには「覗かれているみたいで緊張する」との声が多く、また園児たちへの過干渉となるのではないかという懸念も聞かれた。それに対して、あまりカメラを感じさせない方向でのデザインの改良、また監視というよりも、父母が子どもの元気な姿を外から見るというコミュニケーションツールとしての提案といった工夫が加えられ、今では幼稚園でのネットワークカメラ導入は、他の幼稚園との差別化にもつながる魅力的な付加価値のひとつとなっている。 ■ 家庭でのIPカメラ普及を見据えた「どこでもモニター」 パナソニック コミュニケーションズのIPカメラは、国内にとどまらず、海外でも高い評価を得ており、順調に販売実績を伸ばしている。とはいえ、まだビジネスシーンでの活用が多く、家庭で気軽に利用する機器というイメージではない。 そこで、家庭に導入してもらう仕掛けとして、「どこでもモニター」という商品パッケージが作られた。小型のIPカメラにテレビアダプターとリモコンをセットにし、アダプターをテレビにつなぐと、カメラの映像をテレビで見ることができるというものだ。カメラには、駐車場の監視などに使える屋外タイプと、別室のようすを見ることができる屋内タイプがある。また、月額1000円程度の「みえますねっと」サービスを利用すると、カメラの映像を外出先のPCや携帯電話でも確認できる。
同社のIPカメラの価格設定は、1台5万円から、周辺機器もあわせて15万円とかなりお手ごろ。小林氏は、「どこでもモニター」の狙いについて、次のように語っている。「工事がともなうような本格的な監視カメラを導入している世帯は、だいたい年収2000万円以上。それに対して『どこでもモニター』は、工事不要、パソコン操作も不要、値段も安く、誰でもかんたんに導入できるものを目指した」。 また、その価格戦略については「一般的には、カメラ3台のセットで50万円といわれたら購入をためらう。それが、20万、10万を切る価格なら、ちょっと試してみようかという気になる。しかも、カメラ1台の価格を抑えているから、便利さを実感できれば後からカメラを買い足してもらえるのではないか」と目論む。 ■ 開発とマーケティングの連携が生んだ「どこでもドアホン」の成功 メーカー企業の新商品開発・販売において、技術者集団である開発チームとマーケティングチームの連携がスムーズに進まないケースが少なくない。しかし「どこでもドアホン」の場合は、開発のスタート時点からパナソニックマーケティング本部の担当者をまじえて、議論を重ねながら進めていった。
この反応を受け、ある量販店ではいち早く「セキュリティコーナー」を設けて、売り場にドアホンとセンサーカメラを並べた。さらに他の量販店でも専用コーナーが設置されている。「先日も見てきたが、ドアホンの売り場が以前よりずっと大きくなり、その真ん中に『どこでもドアホン』が置かれている」、と小林氏は満面の笑みだ。 パナソニックには2万店の系列電器店があり、顧客との接点となっている。小林氏によると、「家に上がりこまれても平気なのは、医者と坊主と電器屋」というほど、電器店は顧客と深いつながりを持ち、説明型の商品や取り付け工事が必要な商品の重要な販路である。この点で、「どこでもドアホン」は、系列電器店にとっても売上につながる「うれしい商品」と評価されている。 「7〜8万円で導入できる」という価格設定も含め、マーケティング戦略が功を奏し、「どこでもドアホン」は、2004年度の販売数が前年比200%を記録している。 ■ 顧客の視点で製品の機能と利用シーン拡大へ パナソニック コミュニケーションズの商品開発には、顧客の視点を重視する姿勢が見られる。実際、お客様相談センターに寄せられる声や、クレームは重要な開発のヒントとなっているそうだ。また社内の会議は、まず「お客様の声の紹介」から始まる。IPカメラについては、ディーラーからの要望で、利用事例集を作成して配布したが、これは購入した顧客からのさまざまな提案を取り入れて作った事例集である。 「ホームセーフティ」と掲げたからには、犯罪の減少、検挙率のアップなど具体的な効果を生み出したい、と小林氏は言う。「どこでもドアホン」にも、訪問者の姿を確認するだけでなく、威嚇装置をつけるなど、泥棒が入りにくくなるような工夫がまだまだ必要だと考えている。 ただし、ホームセキュリティサービスに参入する意志はない。あくまで機器開発に注力し、サービスへの展開は、サービス事業者とのアライアンスによって実現していくとのこと。「サービスプレイヤーと競合するのではなく、積極的にアライアンスを組みながら、松下はメーカーとしてやるべきことを進めていきたい」と小林氏は語った。パナソニック コミュニケーションズにとって、「メーカーとしてやるべきこと」とは、顧客の声に真摯に耳を傾けることによって可能になる顧客のニーズを先取りした商品開発である。 それが、新たな「ホームセーフティ」の展開につながっていくのだろう。 |
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