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| 第1回 HMVジャパン株式会社 |
| 2004.6.25 |
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<HMVジャパン株式会社> http://www.hmv.co.jp/ ■ iモード「本/CD/ゲーム」カテゴリで2位にランクされる「HMV mobile」 外資系レコード店大手のHMV。音楽ファンなら一度は利用したことのあるレコード店だ。英国に本社を構えるHMVは、1990年東京・渋谷に第1号店をオープンして以来、日本全国に店舗ネットワークを拡大している。2004年6月現在、店舗数は45となっている。 1999年にウェブサイトでのサービスがスタートし、オンラインショップは順調に発展。現在では渋谷店の売上をしのぐ月もあるほどに成長している。また、携帯電話でのサービスも2000年に開始。現在、iモードのメニューリストでは、「ショッピング/チケット」の「本/CD/ゲーム」カテゴリで2番目にランクされる人気サイトとなっている。「iモード」自体のサービス開始は1999年だから、HMVの携帯対応は素早いものだったといえる。 ちなみにHMVの競合である外資系レコード店「タワーレコード」は、1980年に日本に出店。2004年6月現在、64店舗を展開している。また、オンラインショップ開設は97年7月で、常にHMVに先行していたが、携帯サイトは2002年11月と、HMVの携帯サイトより2年遅れてスタートした。 今回はHMVジャパンのEコマースの現状について、携帯電話における利用や、リアル店舗との違いなどを、HMVジャパンEコマース部門、プロダクト&マーケティングマネージャーの青木洋平氏にお話を伺った。
■ 1999年にウェブサイトを立ち上げ、携帯サイトは2000年7月スタート HMVのウェブサイトは1999年にサービスがスタートした。これまで4度のリニューアルを行い、現在で「5世代目」。サービス開始時は商品情報の提供のみだったが、約半年後の「2世代目」からオンラインショッピングが可能になった。 携帯サイトは、iモードサイトの2000年7月のサービス開始を皮切りに、ボーダフォン(旧Jフォン)が2000年12月、EZウェブでは2002年1月にサービス提供を始めている。 オンラインショップで購入できる商品タイトル数は、CD、DVDを合わせて約85万タイトル。ウェブサイトでも、携帯サイトでも同じ商品タイトルの購入が可能である。 「3世代目」からは、リアル店舗とは別に、オンラインショップ専用の在庫センターを用意。在庫センターには常時18万タイトルの商品が置いてあるという。 ■ ウェブサイト、携帯サイトにそれぞれジャンルごとのコンテンツ担当を配置 では、HMVオンラインショップの運営体制を説明しよう。オンラインショップの担当スタッフは、総勢約110名。コンテンツ担当が20名で、マーケティング担当やシステム担当、管理部門のマネジャーが計10名。残り約80名が出荷・配送を担当している。 ウェブサイトと携帯サイトにそれぞれ専属のコンテンツ担当者を配置。ウェブサイトに掲載したコンテンツを自動的に携帯サイトに配信することはせず、携帯サイト専属の担当者を置く体制である。 コンテンツ担当20名がウェブサイトと携帯サイトそれぞれに、ロックやJポップス、ジャズ、クラシックなどジャンルごとの記事を書き、日々サイトを更新する。 内容についてはコンテンツ担当のひとりよがりにならないよう、売れ筋とコンテンツのバランスを見て、適宜マーケティング担当と打ち合わせしながら商品構成を考えていく。ライターを外部に委託することはせず、すべてHMVで内製している。 ■ オンラインショップの売上は、HMVジャパン全体の15%〜20% 渋谷店をしのぐ月も オンラインショップの売上は、ウェブサイト、携帯サイトを合わせてHMVジャパン全体の売上の15〜20%を占める。月によっては、店舗の規模がHMVジャパンで一番の渋谷店を抜くこともあるというから驚きだ。HMVのオンラインビジネスが極めて順調に発展していることがうかがえる。携帯サイトでの売上はオンラインショップ全体の約20%である。 ページビューは一日約160万(ウェブサイト・携帯サイト合計)。一週間で約1200万弱のビュー数を誇るという。 ■ ウェブサイトでも携帯サイトでも同じ商品を購入できる
コンテンツは大きく分けて「商品情報」、「リリース情報」と「チャート情報」で構成されている。取り扱う商品はCDに限らず、DVDやゲーム、書籍も販売している。ウェブサイトからでも、携帯サイトからでも同じ商品を購入できる。 携帯サイト向けコンテンツについては、商品情報などウェブサイトに掲載されているものを携帯サイト用に加工するほか、独自コンテンツとして、売れ筋情報「売れスジ!!」や着メロがある。
会員登録者は、ウェブサイトが約100万人、携帯サイトが約25万人の合計約125万人となっている。CDを購入するか、メールマガジンを購読することで会員登録ができる。 また、店舗ではおなじみのポイントサービスもオンラインショップ開始時から提供している。店舗と同様に1000円購入ごとに1ポイントが貯まっていく。店舗とオンラインショップでの共有はできないが、50ポイントで2000円、100ポイントで4500円といったポイント還元率は同じである。 メールマガジンの内容はウェブサイト、携帯サイトとも同じで、キャンペーン情報とニューリリースが掲載される「ニュースレター」(3週間に1度配信)、ジャンルごとのチャート情報(週に1度配信)、アーティスト情報(不定期配信)などがある。「ニュースレター」は、読者層の違いを考慮し、ジャズ版とクラシック版に分けて配信している。情報は、オンラインショップに関するものだけで、店舗でのキャンペーン情報をオンラインショップのユーザーに配信することはない。 ウェブサイトと携帯サイトの違いは、ウェブサイトでは決済方法の種類が多い点と配送状況を確認できる点である。 使える決済方法は、携帯サイトではクレジットカード(ビザ、マスター、アメックス、ダイナース、JCB、UFJ、セゾン)払いと代金引換払いだけであるのに対し、ウェブサイトはそれに加えてコンビニ(ローソン)支払い、電子マネー(ちょコム)での支払いも可能である。また、ウェブサイトであれば配送状況をサイトから知ることができるが、携帯サイトでは確認できない。 ■ 売上ランキングは、オンラインショップと店舗で別に集計 売上ランキングは、店舗とオンラインショップで別に集計している。ユーザー層や売れ筋が店舗とオンラインショップで異なることや、予約購入が多いオンラインショップと店舗では、ランキングにタイムラグがあるため、店舗とは別にオンラインショップだけの売上ランキングを行っている。 在庫センターだけでなく、メールマガジン、売上ランキングなど、基本的に店舗とオンラインショップは連動していない。会員のデータベースも店舗とは別物である。まるで別会社のようにも見えるが、これは店舗とオンラインショップのユーザー層や売れ筋などが違うことから生じた必然と言えよう。 ■ 携帯サイトは20代男女、ウェブサイトは30代男女がコアユーザー 店舗とウェブサイトでの売れ筋は大きく異なっている。オンラインショップで売れる商品は、リリース前のものや、DVDボックスなどの高額商品が比較的多い。DVDについては、アイドルものやアニメ、お笑いものなどが特に人気である。オンラインショップの売上のうち、DVDの売上は約18%を占める。 HMVを利用するユーザーは、他のサイトに比べて年収の高い人が多く、音楽について詳しい人が多いという。また、同じオンラインショップでも、ウェブサイトと携帯サイトではユーザー層や売れ筋など、異なる部分もある。 まず客単価。店舗では客単価約3000円だが、ウェブサイトはほぼ倍の6000円近くになる。一方で携帯電話は3000円程度で、店舗と客単価が同じくらいである。 携帯サイトはユーザー層も店舗に近い。ウェブサイトのユーザー層は男女比が55(男):45(女)だが、携帯サイトは逆で49(男):51(女)。年齢層も20代前半が多い。ウェブサイトは30代の男女がユーザーの中心である。 さて店舗とオンラインショップ、さらに携帯サイトのユーザーに、購買行動などの違いはあるのだろうか。 オンラインショップの特徴としては、予約購入や、旧譜の購入が多いことが挙げられる。店舗と違い、オンラインショップでは予約商品が売上の30%にのぼる。オンラインショップで購入できる商品は85万タイトルもあるので、ユーザーにとっては店舗にはない商品や、店舗を何軒も回るよりはネットで検索して購入するほうが便利だからだ。 店舗ではDVDボックスはあまり売れないが、オンラインショップでは何百セットと売れる物もある。また、オンラインショップでは、大勢のユーザーが買う商品ではなく、一部のマニアが買う商品がよく売れるという。 売れるジャンルについては、Jポップス、ロック、ダンスの順に人気が高い。これは店舗もオンラインショップもあまり変わりはない。 曜日ごとの売上では、週末に商品がよく売れる。金曜日の夜にキャンペーンメールを配信していることもあり、それを読んだユーザーが週末に購入するケースが多い。 また、オンラインショップでは新譜情報の解禁日が売上に大きな影響を与える。情報が多い日にはもちろん売上が跳ね上がる。時間帯による売上の差は、現在では平準化してきているという。以前は夜中に売れることが多かったが、ユーザーの増加にしたがい、時間帯での差はそれほど大きくなくなってきた。 ■ ウェブサイトで得たノウハウを携帯サイトに活かしていくことが課題 携帯サイトのために、何か特別に対策を施したことや特に注力している点はないか青木氏に聞いてみたところ、特別なことはあまりしていないという。現状では、オンラインショップでの売上の約8割を占めるウェブサイトを中心に考えざるを得ず、ウェブサイトで試行錯誤のうえ構築してきたノウハウにあたるものを、携帯サイトに活かしていくことが課題だという。 ■ 携帯サイト、ウェブサイトともリニューアルで一層の売上増加を狙う HMVオンラインショップの今後について聞いてみた。 携帯サイトの今後の展開としてはまず、今年(2004年)7月のサイトリニューアル。携帯サイトでの売上は、これまでほど順調な伸びを見せておらず、やや伸びが鈍ってきたことから、てこ入れを図ることになった。ユーザビリティを見直し、情報の見せ方を考え直したり、新しいコンテンツを投入することが改善の目玉となる。 一方ウェブサイトは、2004年の秋頃にリニューアルの予定。SEO(検索エンジン最適化)や、他社との提携を強化していくという。 ■ インフラ環境やユーザーの変化を見据えたサービス提供をめざす ADSLやFTTHなどの普及による、ブロードバンド環境で利用するインターネットユーザーの増加は、HMVにとって追い風であると青木氏は言う。HMVのサイトはリッチコンテンツを多用しているため、ナローバンドだとストレスを感じてしまうが、ブロードバンド環境になれば関係なくなってくるからだ。 インフラの整備変化は明るい話題だが、ユーザーの音楽の楽しみ方が多様化していることは、常に気にとめておかなければならない問題である。 音楽を聴く方法は、もはやCDだけでなくなってきている。着うたやダウンロード配信サービスなど、音楽の楽しみ方が多様化し、ユーザーをCDにひきつけづらくなってきているのだ。 音楽のダウンロード販売は、現在まだ普及していないが、何かがきっかけとなって急速に普及する可能性もある。レコード店が音楽配信をするようにはならないが、そのときはレコード会社とうまく連携することを考えなくてはならないだろう。 オンラインショップが店舗にすべてとって代ることはないだろうが、淘汰はされていくのではないか。アンテナを立てながら、新しいデバイス、メディア、配信方法など、世の中の新しい動きには常に敏感でいなければいけないと、青木氏は気を引き締めていた。 青木氏はHMVジャパンのEコマース部門を担当して3年になる。初めの半年間は勉強の毎日だったという。バナー広告を出してもあまり効果が上がらないため、単なる広告は一切行わず、提携を重視し、提携先からHMVへの導線、ユーザー層を把握することによって、どうすれば購入意欲のあるユーザーにリーチできるかを考えた。アクセス数を増やしさえすれば解決するものではない。クリックレートが高くても買わない人は買わないからだ。試行錯誤の結果、売上は3年間で3倍になった。 ただ、現在は購入額の少ない若いユーザーについても、ブランドをしっかり認知させ、将来のHMVユーザー予備軍として育てていかなくてはならない。オンラインショップは、ユーザーの動きが店舗よりも早いので、市場の変化にすばやく対応できるよう準備をしておかなければならないと、青木氏は将来を見据えた今後の抱負を語ってくれた。 着うたの大ヒット、音楽のダウンロード販売など、登場からわずかのうちにユーザーの心を捉えるサービスが登場している。HMVはオンラインショップをさらに充実させていくとともに、音楽の楽しみ方の多様化にも柔軟にそして素早く対応していかなければならない。また、リニューアル後の携帯サイトが、ユーザーにどれほど支持されるかにも期待している。HMVの今後に注目していきたい。 |