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イプシ・マーケティング研究所
<コラム&レポート> -ビジネスレポート-
携帯電話ビジネス

"話す機器"からマルチな情報端末として"使う機器"となった携帯電話。今や、赤ちゃんからお年寄りまでを含めた日本人全体の、2人に1人がユーザーとなり、「手のひらサイズの生活必需ツール」となった。
モバイルコンピューティング推進コンソーシアムによれば、2002年度の携帯電話累計契約者数の予測は7,294万人。コンテンツビジネスの市場規模は2,641億円と見られている。急速に成長中の市場を抱える、携帯電話ビジネスの現状をレポートする。

第2回 株式会社インデックス
2002.8.13

<株式会社インデックス> http://www.indexweb.co.jp/

■ iモードの大ヒットとともに、携帯向けコンテンツビジネスで飛躍


小田氏
小田氏
 インデックスはインターネット対応携帯電話向けにコンテンツを提供している会社だ。

 同社がコンテンツ事業に参画したのは1997年後半。最初はアステル東京やDDIポケットが始めたメールと文字情報配信のサービスにコンテンツを提供していた。それらのビジネスに手ごたえを感じ始めた頃、NTTドコモのiモードサービスが1999年2月に開始され、利用者が爆発的に増えて大ヒットした。これがインデックスのコンテンツ事業急成長の契機となった。歴史の浅い業界の中にあって、最初に立ち上げた占いサイト「恋愛の神様」は、iモード公式サイトとしてすでに老舗的存在であり、その会員数は現在約35万人。iモードの他にEZwebやJ−スカイなどでもビジネスを展開し、提供コンテンツ数は今秋にも100に達する勢いである。
 
 最近は、コンテンツ事業で培ったノウハウを活かし、モバイル・コマースやソリューション事業、ライセンス事業にも積極的な姿勢を見せている。2001年3月にはJASDACに株式店頭公開を果たしており、今年の8月期決算売上(連結)は昨年同期の約2倍、90億円を突破する見通しだ。

 今回は、広報宣伝部長の小田勝久氏にお話を伺った。

インデックス売上・経常利益推移



■ モバイルコンテンツビジネスの総合プロデューサー


 まず、メインビジネスであるモバイルコンテンツ事業について紹介しよう。インデックスのコンテンツ事業は、コンテンツの企画・制作にとどまらない。システム開発やネットワーク運用、ユーザーサポートまで含めた総合的なサービスを提供する。自社コンテンツと、他企業からの受託によるパートナー・コンテンツを含めて、現在のコンテンツ数は約90にのぼっている。

代表的なコンテンツ
代表的なコンテンツ:恋愛の神様DX 代表的なコンテンツ:メロやぎさん 代表的なコンテンツ:チョロQ
(c)インデックス (c)インデックス (c)タカラ/インデックス


 主力コンテンツは、1番人気の「恋愛の神様」をはじめとする占いのほか、着メロ、待受画面、ゲームなどで、エンターテインメント系が多い。

 占いと並んで根強い人気があるのは着メロで、利用はますます伸びている。最近は、単なる着信音としてでなく、人気アーティストの新曲をCD発売より先に聴いて覚えるなど、音楽を"携帯電話で聴く"ためにダウンロードするようになってきている。インデックスでも、版権をもつパートナー企業と組んで今後も力を注いでいくそうだ。  

 コンテンツはどれも、ひとつひとつ手作り感覚で立ち上げている。インデックスの一番の強みは、コンテンツを作る際にユーザーをよく知っていることだ。90ものコンテンツを制作してきた経験から、どのようなものが携帯ユーザーに受けて、かつ事業者にとって一番いい形なのかを、的確に提案することができると自負している。  

 制作スタッフは、1コンテンツにつき3名。各スタッフが複数のコンテンツに携わっている。スタッフの総数は現在135名。技術者と企画部隊がそれぞれ50名ほどの布陣となっている。平均年齢は28歳と若い。新卒社員も採用しているが、広告業、コンピュータ、ゲーム制作など、他の業界からの中途採用スタッフが多い。

 社員の仕事振りはなかなか激しいようだ。近くに住めば家賃補助額が増えるという特典(?)もあってか、社員の半分は会社周辺に住んでいる。しかし、企画のプレゼンテーションやサイトオープン前などは、家に帰れない日の方が多いとか。頭脳と体力勝負で、業界の最先端を走っているインデックスである。


■ 公式サイトにフォーカスして急成長


 iモードでアクセスできるサイトは、公式サイトと勝手サイトに二分されているのはご存知のとおりである。

 例えばiモードの場合、公式サイトとはNTTドコモに登録されたサイトで、インターネットに接続する際の入口「iモードメニュー」から「iMenu」を選択するとアクセスできる。操作はいたって簡単だ。一方の勝手サイトは、NTTドコモの登録制とは関係なく、自由に立ち上げられているサイトで、URLを入力しなければ接続できない。

 インデックスでは、iモードのサービス開始当初より、一貫して公式サイトにこだわったコンテンツ事業を展開してきた。

 コンテンツ事業者から見た場合の公式サイトのメリットは、まずなんといってもNTTドコモによる料金回収代行サービスがあることだ。ユーザーが有料サイトを利用した時の料金を、NTTドコモがiモード料金と一緒に徴収してくれるというもの。その際のNTTドコモの手数料は9%で、月額利用料金が100円であれば、9円がNTTドコモに徴収される。EZwebやJースカイでも同様なしくみで料金回収代行サービスが提供されている。

 公式サイトであれば、事業者が有料サイトを立ち上げる時に、新たな決済システムを導入する手間とコストがかからない。たとえ携帯電話事業者に手数料を支払う必要があるとしても、そのメリットは非常に大きい。携帯ユーザーから見ても、クレジットカード決済にともなう不安がなく、かつ料金が低額(iモードでは月額最高300円までと決められている)なので、有料コンテンツであっても気軽に利用できる。

 公式サイトの恩恵はもうひとつ、集客が容易な点である。「とにかく、初期のマーケティング・コストがかからないのが大きいですね」と小田氏は説明する。「携帯の公式サイトになるということは、それだけで原宿の通りに路面店を構えたようなもの。人はどんどん集まってきます。とても効率がいい。広告宣伝費ひとつをとっても、Webで事業を行うドットコム系の企業がTVでCMを流せばあっという間に億単位のコストがかかってしまうでしょう」。

 現在インデックスが提供するコンテンツは、一つ(「かってネっと」)を除いてすべて公式サイトである。コストがかからず、素早く会員を集めることが可能な"公式サイト"にフォーカスしてきたこと、さらに、iモードのサービス開始時からコンテンツを提供し先行優位を確立したことや、ノウハウを蓄えつつ新技術にもいち早く対応してきたことが、現在のインデックスの成功を導いたといえるだろう。


■ 公式サイトも競争激化、上位に名を連ねなければ意味がない


 ただし、一口に公式サイトを立ち上げるといっても、そう簡単ではない。

 公式サイトを運営したい事業者は、iモードを例にすると、まずNTTドコモに企画書を提出し、認定を受けなければならない。NTTドコモでは、公式サイトの数を制限無しで増やすことはせず、質の高いサイトのみを選別しているため、認定のハードルは非常に高い。提出企画は何度も跳ね返されてしまい、そのやり取りに最低でも2ヶ月はかかる。認定を受けるためのポイントは、まず何よりもオリジナリティ。これまでにないアイディアを創出することが要求される。さらに、そのアイディアを実現できる体制ができていることも重要だ。

 認定を無事受けられた後も、そこからサイト構築、システム構築を始めると、企画からサービス開始までは約半年が必要となる。

 試行錯誤とシステム構築ののち、ようやくデビューとなる公式サイト。しかし現在は競合も増え、以前とは状況が明らかに変わってきている。 「いまや、公式サイトになるだけではだめです。あるジャンルのメニューリストでトップから3番目くらいまでにランクされないと意味がない。最初の画面に表示されない"その他"にくくられてしまうと、ほとんどアクセスしてもらえません」(小田氏)。

 メニューリストの表示順序は、毎月のアクセス数によって決められており、人気のあるなしが一目瞭然のシビアなシステムだ。

 しかし、ここがインデックスの実力を最も発揮できるところ。90ものコンテンツを運営していると、ユーザーから直接、さまざまな反応が返ってくる。これらのフィードバックは、サービスの向上や新しいコンテンツ作りのためのアイディアの宝庫だ。その中から、ビジネスとして採算性のあるものを見極め、「これはいける!」と判断したときに、コンテンツを有する事業者や携帯ビジネスを始めたい事業者に対しプレゼンテーションを行っている。iモードのサービス開始時期からコンテンツ開発に取り組んできたインデックスならではのノウハウを元に、常に「新しい、実現可能な提案」を行ってきた。

 結果、現在の会員数の合計は約425万人。しかも、赤字サイトはないという実績を誇っている。


■ モバイル・コマースは「香水屋さん」からスタートし、今後も注力


 インデックスでは、コンテンツの他、モバイル・コマースにも事業を拡大中だ。コンテンツ会員の女性から寄せられた「香水、売らないのですか?」という声がきっかけだった。最初の物販サイト、その名も「香水屋さん」をスタートさせたのは2000年11月のこと。商品は海外ブランド香水の輸入卸・販売のフィッツコーポレーションから供給を受け、物流と決済はヤマト運輸と提携した。

 利用者は開始当初こそ少なかったが、その後徐々に増え、現在では1日平均で200個の香水が売れている。一回あたりの顧客購入単価は6,500円から7,500円ほど。決済はほとんどが代金引換だ。現在でもインデックスのモバイル・コマースサイトで最も売上の多い看板サイトとなっている。

「香水屋さん」の売上増を受けて、その後、商品分野もひろげた。生花を販売する「お花屋さん」、手塚プロダクションのモバイル版公式ショップ「手塚キャラ・ショップ」など、現在6サイトを運営中。株主であるフジテレビと提携した「フジおみやげランド」では、番組関連グッズやお台場フジテレビ本社のショップで売っているおみやげを扱っている。

代表的なモバイル・コマースサイト
代表的なモバイル・コマースサイト:香水屋 代表的なモバイル・コマースサイト:お花屋さん 代表的なモバイル・コマースサイト:フジTVおみやげランド
(c)インデックス (c)インデックス (c)フジテレビジョン
 

 モバイル・コマースに向く商品は、名の知れているブランド品が最適という(小田氏)。香水、キャラクターグッズなどはまさにうってつけの商材である。また、購入者の属性を見てみると、地方に住む10代〜20代の若い人の購入がかなり多い。知っているブランドで新しい香水が出たが地方では近くで手に入らない、しかも大きい瓶は要らないので小さいサイズを注文したい、という若い世代にとって携帯電話から手軽に注文できるのは、便利で嬉しいにちがいない。20代後半から40代がユーザーの中心で自宅で商品注文をするPC版ECサイトとは、明らかに異なるユーザー層や利用シーンを生み出したといえそうだ。

 モバイル・コマースサイトの運営には、コンテンツ事業とは違う難しさがある。サイトの立ち上げにかかる費用は、技術者の人件費、サーバーやシステムの構築費など、ECであってもコンテンツであってもあまり変わらない。しかし、公式サイトのコンテンツであれば会員制で一定の月額料金を課金できるので安定した収入を得られるが、モバイル・コマースの場合は実際に商品を買ってもらわないと売上に結びつかない。

 インデックスでは、「香水屋さん」を例にとれば、占いや化粧品情報など豊富な無料コンテンツも準備して、まずユーザー会員を集めている。情報を楽しんでもらう中で、「よければ香水も買ってください」というスタンスで商品を紹介する戦略だ。

 また、2001年12月には、インデックス唯一の勝手サイトとして「かってネっと」をオープンさせたばかりである。このサイトは若い女性をターゲットとしたセレクトショップで、ダイエット・美容関連商品、面白いグッズなどを販売している。また、この7月にリニューアルオープンした「Mobile GEO」(レンタルビデオショップ運営のゲオと提携)では、中古のビデオ・ゲーム・DVDを販売している。こちらは男性ユーザーにも受け入れられそうだ。

 コンテンツ事業で競合が増え、新奇性を打ち出すのが難しくなってきている現状を踏まえ、インデックスでは今後もさらにEC事業を推進していく予定である。


■ 蓄積されたノウハウを武器に事業を拡大、他メディアとの連動も促進

 
 インデックスは、その他の事業にも乗り出している。

 BtoCのコンテンツ事業やモバイル・コマース事業で蓄積したノウハウをBtoBビジネスに活かし、企業を対象にASP事業を展開するソリューション事業、国内外で将来性の高い技術やソフトを発掘・販売するライセンス事業、モバイルとの連動を意識した雑誌の発行を行う出版事業などを行っている。

 ソリューション事業では、さまざまな企業と提携して、携帯電話をプラットフォームとした「生活密着型」サービスの提供を戦略として打ち出している。

 例えば、NTTドコモの新機種携帯電話に搭載されている赤外線通信機能(IrDA)を利用した会員認証サービスがある。今年5月にリリースしたばかりで、前述の株式会社ゲオと提携した。ユーザーは、携帯電話を会員カードの代わりとしてビデオレンタルすることができ、ポイント数も確認できるというものだ。ただし、今のままのスペックでは現状のシステムに取って代わるための決め手にはならないとインデックスでは見ている。「これに決済機能が加われば、うちでもやってみようか、という事業者が増えてくるでしょう」(小田氏)。

 また、今年8月から開始予定の住宅用防災・防犯システム「S-mode」では、セキュリティ関連企業のホーチキ株式会社と組んだ。家庭内に情報盤を設置し、火災やガス漏れ、侵入者などの異常が発生した場合に、インターネット経由でユーザーの携帯電話にメールと音声で通知するというサービスである。部屋の様子をモニタすることも可能だ。月額の利用料は千円以下になる予定である。

 もうひとつ力を注いでいる新しい取り組みは、携帯電話と他メディアとの連動を深めることである。これまでは、携帯電話というひとつの枠の中で動いていたが、今後は携帯電話を通じて各メディアとの融合を目指すことになる。携帯電話端末も動画や音声などで高性能化し、より良質なコンテンツが求められるようになった。具体的には、リッチコンテンツホルダーであるテレビ局や映画会社、レコード会社などとの提携が必要だ。これらのプレイヤーが持つ膨大なコンテンツをデジタル化し、携帯電話からストリーミングで提供し課金するなど、様々なアプローチが考えられる。ただし、今はまだ権利処理の問題などがあり、現状での急発進は難しい。「手探りの状態ですが、少しずつ動いていくと思いますよ」と小田氏はいう。


■"新しくて面白い"サービスの提供を目指す

 インデックスは、iモードなどのサービス開始とともにコンテンツ供給を開始し、変化の激しい業界において常に第一線を走ってきたが、正念場はこれから、年商100億を超えるあたりからだと考えている。

 「目指している将来像は?」との問いに、「まず、二部上場を考えています。そのための部署も新設しました。店頭公開企業として利益を出すことはもちろんですが、インデックスとしては携帯電話というプラットフォームにはこだわっていません。FOMAが有望ならそちらにいくし、カーナビが伸びてくればそれももちろんやります。ただしいつも追求したいのは、"これはなんだ、面白いぞ!"と思ってもらえるものを提供し続けることですね」との答えが返ってきた。

 犬の鳴き声を分析して人間の言葉に翻訳するハイテクおもちゃ「バウリンガル」をタカラと共同開発したことも、新鮮な驚きを与えるビジネスを追求する姿勢の一環だ。その他、いくつものプロジェクトが現在進行中で、もう少しで発表できる"世界初の新しいサービス"もあるとのこと。

 また、台湾で始まったばかりのiモード同様のサービス(KGTiモード)にコンテンツを配信するなど、海外進出にもここ1、2年力を注いでいる。

 移り変わりが激しく1年先でさえ読めないモバイルビジネス業界。そのなかで、インデックスが数年後にどのような変貌を遂げているのか、おおいに楽しみである。



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