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| ブロードバンドコンテンツ・ビジネス |
| 株式会社情報通信総合研究所 常務取締役 イプシ・マーケティング研究所アドバイザー 小澤 隆弘 |
ブロードバンド・ビジネスの時代が来たと騒がれて久しいが実態はなかなか進んでいない。IT企業の中には成功した企業もあるが、必ずしもブロードバンド・ビジネスで成功したわけではない。 インフラとしてのブロードバンド・ネットワークは世界の最高水準だが、その上で展開されるビジネスには見るべきものが少ない。なぜだろうか。 一例として、ブロードバンド・エンターテインメント・ビジネスを取り上げて考えてみよう。私の考えはこうだ。それは起業家がブロードバンド・ビジネスを従来のビジネスモデルの延長線上で考えているからだ。映像コンテンツを送るビジネスはテレビの出現の時代からすでに長い間存在している。ブロードバンド通信ネットワークが初めて可能にしたものではない。その上、テレビは大衆の心をがっちりつかんでいる。簡単にはテレビ離れは起こらない。それを起こすには現在のテレビにない新しいブロードバンドの魅力を提供しなければならない。 ブロードバンドコンテンツ・ビジネスはゼロサム・ゲーム それにもかかわらず現在のブロードバンド・ビジネスの起業家は、映画やテレビ番組といった既存のブロードバンド・コンテンツを集めて、それをネット上で売ろうとしている。 要するにこれは2番煎じのコンテンツ、中古のコンテンツを売っているということではないか。そういうビジネスで最新のコンテンツを提供する映画業界やテレビ業界が支配している市場に食い込もうとするのだから勝てるはずがない。著作権の処理とか伝送品質がどうとかいろいろ理由付けがされているが最も重要なのは別の問題である。 生活者の時間配分は簡単には変わらない。テレビや映画などブロードバンド・コンテンツを見る時間はそう大きくは増えない。ということはブロードバンドの娯楽マーケットは限られているということである。ブロードバンドコンテンツ・ビジネスは映画やテレビといわばゼロサム・ゲームを戦っているのである。 そこで勝つためには他のコンテンツとどう差別化するかが最大のポイントである。 2番煎じで勝てるのか? それをお下がりのコンテンツで間に合わせていたのでは勝てるはずがない。今、メディアで人気を集めているコンテンツをみてみればそれがわかる。スポーツの中継であり韓国ドラマである。これらは中古のコンテンツではない、視聴者が初めて見るコンテンツである。そういうコンテンツを常時提供できればブロードバンド・ネットビジネスにもチャンスがあるだろう。 そのためには新しいコンテンツを制作する仕組みを自ら用意する必要がある。それができなければ既存のコンテンツのウィンドウの順位を換えてネット配信の順位を1位とか2位に持ってこなければならない。 ブロードバンド・ビジネスの起業家たちはあまりにもビジネスを安易に考えすぎていないだろうか。新しいビジネスを立ち上げるためには、それなりのコンセプトと投資とエネルギーと時間が必要なのである。先行者を追い抜くには先行者と同じことをやっていてはダメである。 知恵を出して人を動かして自らの道を切り開いていかなければならない。 2005/8/25 |